歯科医 東のウェブログ
歯肉縁下にエアーフロー
エアーフローを歯肉縁下に使用する方法。
歯周病治療後に、歯肉縁下の細菌叢は数日で元に戻り、歯周組織の健康を維持するためにSPTのための来院が必要となる。
歯肉縁下細菌叢を機械的に破壊するために、長い間、手用器具を使ってきた。
エアーポリッシングには、重曹（重炭酸ナトリウム）が使われてきた。重曹（重炭酸ナトリウム）は、歯の表面のプラークや着色を効果的に除去できる。重曹粉末を高圧で歯面に吹き付ける。ブラシの入らない部分の着色やプラークが数秒で除去できる。しかし歯肉に当たると傷ついてしまう。気をつけてやれば現実には傷つけることはないけれど、歯肉縁下にはもちろん使用できない。
これを解決するのに、最近はグリシン粉末が登場した。歯肉縁下に使用しても傷つけない。
歯肉縁下のクリーニングをより効果的に行うために、EMSがグリシン粉末を歯肉縁下に、いままで歯肉縁上につかわれていたものより低圧力のフローで直接使用するチップを開発した。
スイスのジェノバ大学の研究者が、50人の歯周病メンテナンスの患者を対象に、新しい歯肉縁下用のチップを使用して、グリシン粉末を使ったエアーポリッシングの比較を行った。
2つのクアドラントに５mm以上のポケットが少なくとも2カ所あるひとが被験者。テスト対象者、コントロールとも部位は無作為に決めた。7日間の研究で、歯肉縁下細菌叢とBOPを調べた。
キュレットは1部位あたり1.4分であったが、エアーポリッシング時間は1部位あたり30秒。
BOPは両者とも減少した。コントロールの方が減少した。歯肉縁下細菌叢の違いは認められなかった。
エアーポリッシンググループは歯肉の外傷はなかった。
キュレットよりエアーポリッシングの方が患者の評価が高かった。
Moëne, R., Décaillet, F., Andersen, E., Mombelli, A.: Subgingival Plaque Removal Using a New Air-Polishing Device. J Perio 81: 79-88, 2010.
2014-01-25