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虫歯菌の母子感染

虫歯の母子感染

母親は子への口腔細菌感染の第一の原因である。歯が萌出すると、母の唾液からミュータンスが感染する。2歳まで母親からのミュータンス感染を防ぐことは、重要な最初の予防戦略と言える。

ストレプトコッカスミュータンスの母子感染についての研究。フィンランドの研究者が、母親の毎日のキシリトールガムの消費量と、歯科医院でのフッ素バーニッシュとクロルヘキシジンバーニッシュとを比較した。

キシリトールを甘味料としたガムを咬んだグループは106人で、出産後3ヶ月から2歳まで1日3回から5回ガムをかんだ。フッ素バーニッシュグループは33人、クロルヘキシジンバーニッシュグループは30人で、子供が6ヶ月から2歳まで、母親が6カ月毎に、バーニッシュを受けた。

母親は、ストレプトコッカスミュータンスが高いひとを選んだ。つまり、ミュータンスの母子感染のリスクが高いひとが被験者。

2歳の時点で、プラークサンプルと唾液サンプル採取を行って、キシリトールガムグループの母親の子供の10%にミュータンスを認めた。クロルヘキシジングループは29%でフッ素グループは49%。
キシリトールグループの母親の子供は、ミュータンス感染のリスクが有意に減少した。

この研究の最初の部分で、ストレプトコッカス・ミュータンスレベルの高い母親が甘味料としてキシリトール100%のガムを食べると、2歳の時点でミュータンスの母子感染が減っているということが示唆された。母親がミュータンスレベルが高いにもかかわらず、キシリトールの使用でミュータンスの凝集能が変化したと考えられる。フッ素バーニッシュまたはクロルヘキシジンバーニッシュを受けた母親は、2歳の時点でストレプトコッカスミュータンス陽性のことが多かった。

被験者の子供を、2歳からさらに3年間経過観察した。フィンランドの子供は歯科を定期的に受診する。103人のキシリトールグループ、28人のクロルヘキシジンバーニッシュグループ、33人のフッ素バーニッシュグループ。

2歳の時点でミュータンス陰性の子供は、陽性の子供より、5歳の時点で、3.6倍虫歯になりにくかった。DMFT指数を分析すると、キシリトールガムグループの子供は、フッ素バーニッシュグループより、71%虫歯が少なく、クロルヘキシジンバーニッシュグループより74%虫歯が少なかった。
これらの知見は、2歳までにミュータンスを抑制すると、その後の虫歯に対して有意に効果的であるという他の研究を支持している。

キシリトールは、ストレプトコッカスミュータンスの歯面への接着を阻害する。

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3ヶ月から2歳までキシリトール3回から5回100%ガムをつかうと、子供にミュータンスが感染しにくい。

Söderling, E., Isokangas, P., Pienihäkkinen, K., Tenovuo, J.: Influence of Maternal Xylitol Consumption on Acquisition of Mutans Streptococci by Infants. J Dent Res 79: 882-887, 2000.

Isokangas, P., Söderling, E., Pienihäkkinen, K., Alanen, P.: Occurrence of Dental Decay in Children after Maternal Consumption of Xylitol Chewing Gum, a Follow-up From 0 to 5 Years of Age. J Dent Res 79(11):1885-1889, 2000.

2013-06-18 虫歯菌の母子感染2 睡眠時無呼吸症候群と歯周病
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